ホーム > オフマガ ニュース一覧 > 矢野経済研究所 ビジネスプリンタ市場に関する調査を実施(2025年)

本調査におけるビジネスプリンタとは、オフィス向けのページプリンタ中-低速、業務・産業向けのラベル印刷やデジタル印刷、オンデマンド(POD)印刷が可能なプロダクションプリンタ、A2判以上の大きさの印刷ができるLFP(大判プリンタ、インクジェット方式)を対象とし、世界市場規模を算出している。
2024年度のビジネスプリンタ世界市場規模は、出荷台数ベースで前年度比107.6%の1,107万5,239台、出荷金額ベースで前年度比104.9%の1兆2,954億2,500万円となった。
ビジネスプリンタのうち、ページプリンタ中-低速においては、オフィス再編や在宅勤務の定着に伴う需要減が進行している。
また、業務・産業向けのプロダクションプリンタにおいては、2023年度以前ライトユーザー向けで比較的廉価モデルが伸長したことで、プロダクションプリンタ全体の裾野が一定の広がりをみせたが、2024年度は当該モデルの一巡感もあり、大幅な伸長には至らなかった。一方で、上位モデルへの移行が進んでいることによって、単価上昇による売上伸長が見られた。
LFP市場では、環境負荷軽減への対応を背景に、既存の有機溶剤系からの転換が行われ、市場を伸ばしていた水性系が一巡感から成熟市場に移り変わろうとしている。
ビジネスプリンタの出荷台数の継続的な増加にはメーカー各社は今後、ユーザー企業需要に応じた製品提案力そのものや、AI活用などのプリンタに付加価値を付けた差別化戦略を強化、充実させていく必要があると考える。
国内におけるオフィスプリンタとは、ビジネスプリンタのうち、ページプリンタ中-低速とMFP(複合機/複写機)を対象にしている。
2024年度におけるオフィスプリンタ国内市場規模は、出荷台数ベースで、前年度比101.7%の121万6,933台、出荷金額ベースでは前年度比96.7%の3,489億8,000万円となった。新型コロナウイルス禍の回復需要の落ち着きによる急激な需要低下の影響を最小限にするため、2023年度から行われていた一部メーカーの出荷調整が完了したことで出荷台数ベースでは、一時的に需要が増加したが、出荷金額ベースでは縮小している。これは製品の平均単価がページプリンタ中-低速よりも高いMFPの出荷台数がマイナスになったことが影響している。
国内のオフィスプリンタ市場は、オフィス需要の低下やペーパーレス化の進展などにより、基本的には減少基調となっている。そのような中、一部のメーカーなどで合弁会社を設立する動きもあり、生産部品やサプライチェーンの共通化など、参画企業の生産効率の向上や各社の持つ技術力を共有し、これらを活用した相乗効果による市場の持ち直しが期待される。
2025年度のビジネスプリンタ世界市場規模は、出荷台数ベースで前年度比98.2%の1,088万30台、出荷金額ベースで同101.7%の1兆3,179億7,500万円になると予測する。
2025年度以降、世界市場におけるビジネスプリンタの需要は、全体で見れば依然として成長基調にあるものの、その成長はオフィス向けプリンタと業務・産業向けプリンタで二極化する可能性が高いと考える。すでに多くの企業において導入が進んでいるオフィス向けプリンタ市場は成熟しており、今後は高付加価値化、高単価化による売上伸長が主体となる。一方で、業務・産業向けプリンタ市場においてはアナログ印刷からデジタル印刷へのシフトが進んでおり、なかでも商業印刷やLFPの分野は、成長の余地も大きい。アナログ印刷の比率が高い分野へのデジタル印刷需要の開拓など、個別需要の深掘りをしていく必要がある。